
当ページでは、狭小住宅における長期優良住宅の認定取得について解説しています。
長期優良住宅は、各種の優遇税制や補助金制度、住宅ローンの優遇金利など、多くのメリットを受けられます。狭小住宅でも、同様の仕様で面積要件を満たせば、長期優良住宅として認定を受けることが可能です。もし面積要件を満たせない場合は、低炭素住宅の認定を目指すことで、同等のメリットを得られる可能性があります。
長期優良住宅とは、国から「優良な状態のまま長持ちする家」であることを認められた住宅のこと。審査を受け、国が用意した全ての要件を満たした場合、長期優良住宅として認定されます。一戸建てで長期優良住宅の認定を取得する場合、次の7つの要件を一定レベルまで満たす必要があります。
旧制度では、長期優良住宅は新築物件のみを対象に用意された認定制度でしたが、2016年4月に制度が改正され、増改築された中古物件でも、上記の要件を満たせば長期優良住宅に認定されることとなりました。
長期優良住宅に認定されると、さまざまな優遇があります。詳しく見ていきましょう。
長期優良住宅に認定されることで、優遇税制が適用されます。対象となる主な税制は次の通りです。
住宅ローン減税の対象となる控除の上限額が、通常の4000万円から5000万円へ増額されます。差額の1000万円分に該当する所得税が、実質的に免除されます。
不動産を取得する際に登録免許税がかかりますが、長期優良住宅の場合、登録免許税の税率が優遇されます。
不動産を取得する際に不動産取得税がかかりますが、長期優良住宅の場合、税額計算に使う控除額が通常の1200万円から1300万円へ増額されます。差額の100万円分に該当する不動産取得税が、実質的に免許されます。
固定資産税が半分となる優遇期間が、通常の「最大3年」から「最大5年」に延長されます。
なお、これらの優遇税制を享受するためには、長期優良住宅の要件をクリアすることに加え、国からの「認定」を受けることが必須条件となります。
自治体にもよりますが、長期優良住宅の建設に際して補助金が用意されている場合もあります。事前にお住まいの自治体の制度を確認し、もし補助金制度があれば適切に手続きを行いましょう。
また、指定された地元の中小工務店に工事を依頼した際、最大100万円の補助金が支給される地域型住宅グリーン化事業(長寿命型)の申請も可能です。
長期優良住宅に認定されると、通常のフラット35に比べて金利が0.3%安くなるフラット35Sの利用が可能となります(最初の10年間)。
また、最初の50年間を固定金利で返済し、住宅売却後に次のオーナーへ住宅ローンを引き継げるフラット50の利用も可能です。
長期優良住宅は高い耐震性を特徴としていることから、一般的な住宅に比べて地震保険料が割安になります。
地震保険料の割引率は物件の耐震等級により異なりますが、最大割引率が適用されると、保険料は50%まで減額されます。
長期優良住宅の要件をすべて満たしていても、所定の認定手続きを行わなければ、これらのメリットを受けることはできません。
また、狭小住宅で長期優良住宅と同様のメリットを得るためには、以下の注意点を事前に確認しておく必要があります。
長期優良住宅の認定を得るためには、最初に住宅会社に相談の上、認定審査に必要な書類(図面等)を作成する必要があります。
必要な書類を揃えたうえで、住宅性能評価機関へ審査を依頼します。技術的な基準を満たしていると判断されると、同機関から適合証が交付されます。
その後、長期優良住宅の認定申請書を作成し、交付された適合証や設計図等を添付の上、所管行政庁にて申請手続きを行います。
所管行政庁による審査に合格すれば、長期優良住宅としての「認定通知書」が送付されます。
これらの手続きは、住宅の工事前に行うことが必須です。
工事完了後に申請しても、長期優良住宅として認められないためご注意ください。
長期優良住宅の認定を取得するには、「住戸面積75㎡以上、かつ少なくとも1つの階の床面積が40㎡以上」という要件を満たす必要があります。そのため、狭小住宅を購入予定の場合、条件を満たせない可能性があります。
もし面積要件をクリアするのが難しい場合は、長期優良住宅と同様の仕様を維持しつつ、「低炭素住宅」の認定取得を目指すのも一つの方法です。低炭素住宅には面積基準がなく、住宅ローン減税などの優遇措置も長期優良住宅とほぼ同等に受けられます。
長期優良住宅の概要やメリット、狭小住宅で長期優良住宅の認定を申請する際の注意点などについて解説しました。
長期優良住宅の認定を受けるためには、工事に入る前に申請手続きを完了させておかなければなりません。仕様条件を満たしていても、着工後に申請手続きを行った場合、認定を取得できないことにご注意ください。
長期優良住宅の補助金等に関しては、自治体による違いもあります。事前にお住まいの自治体に問い合わせ、詳細を確認するようにしましょう。