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狭小住宅に地下室は必要?

地下室は防音性や遮音性が高いため、シアタールームや趣味の部屋、ワインセラー、倉庫などに活用されることが多いです。また、地下室はじめじめしていたり暗所というイメージがありますが、ドライエリアをつくることで解放感のある地下室をつくることができます。ここでは、地下室の必要性から、地下室の種類、地下室をつくるメリット・デメリットについて解説しています。

地下室の種類

ドライエリア

ドライエリアとは、地下室に開口部を設けるため建物の周囲の地面を掘ってつくるスペースのこと。空堀(からぼり)ともいいます。深さは、地下室の床の深さまでや、高窓などを設置できる程度に浅い深さなど、いろいろあります。

ドライエリアをつくるメリットは、地下室に自然光や風を取り込める、プライバシーが守られる、地下室を居住スペースや作業場として活用できることです。デメリットは建築コストがかかる、雨対策が必要、断熱性や防音効果が下がることなどがあります。

半地下

半地下は土地の傾斜や段差などの形状を利用してつくられます。建築基準法において、「床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの三分の一以上のもの」を指します。部屋の一部分が地上に出ている状態で、地中部分を駐車場として利用しているケースもあります。

高低差がある、平らではない土地でも地下室をつくることができ、窓を設けると自然光や風が入ってくるので、地下よりも明るく湿気を逃がしやすいのが特徴です。ほかにも地面を掘る量が少ないためコスト削減も期待できます。

全地下

部屋全体が地下に埋まっているのが「全地下」です。断熱性や遮音性に優れているため、大きな音を出しても周りに迷惑を掛けることもなく、外気の影響を受けにくいため一定の室温を保つことができ、ワインセラーに適しています。周りの視線を気にすることもありません。映画を観たり、音楽を聴いたり、気兼ねなく趣味に没頭することができます。

全地下は外気に接する壁面がないため、窓を作ることができないため、太陽の光が届かない、風通しが悪いのがデメリットです。換気したい場合は機械を設置する必要があります。

地下室をつくるメリット

建物の有効面積を広げられる

建築基準法で「住宅部分の延床面積の3分の1を限度として、容積として算入しない」(※)と定められています。地階が延床面積(地階を含む)の3分の1 までであれば容積率に換算されないため、地下室を設置すると有効面積を1.5倍まで広げることができます。つまり、2階建ての家でも地下室を含んで3階建てと同じくらいの面積が確保できるわけです。狭小住宅にとって土地を有効活用できるのは大きなメリットだといえます。

※参照元:国土交通省公式HP/建設省住宅局長通達平成六年六月二九日(https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/104/81000238/81000238.html)

耐震性が高い

建物は高くなればなるほど揺れが大きくなります。地震が発生したときにビルや建物が倒壊しても、地下室は無事だったという事例もあります。地下室は地面に埋まっていることから、地面と同じように揺れるため、地震の時にかかる圧力が小さくなります。地震に強い構造になっているため、地下室を災害用シェルターとして活用する方法もあるでしょう。

音や衝撃、振動を抑えられる

地下室はコンクリートでつくられ周りは土で囲まれています。コンクリートの壁や床は耐久性が高く、隙間がないので防音性に優れています。カラオケルームやシアタールーム、トレーニングルーム、楽器を演奏する場所で有効活用できます。また、周囲の音が気にならないため読書や仕事部屋として活用できます。

地下室をつくるデメリット

コストがかかる

地下室をつくるためには「ボーリング調査費用」「防水工事費用」「防カビ工事費用」などの費用が必要となるため、地上階だけの住宅と比べてコストがかかります。地下室をつくるときの一部屋当たりの坪単価は50万円~200万円前後(※)かかるため、地下室が本当に必要かどうか予算のことを考え家族で話し合いましょう。

※参照元:クレバリーホーム/地下室をつくるのは簡単?ポイントを解説(2021年09月27日公開)(https://cleverlyhome.tokyo/column/column-20210927/)

結露が発生しやすい

地下室は温度を一定に保ちやすいのが良い点です。しかし、夏場は外が暑くて湿度が高く、地下室内はひんやりしていますので、結露が発生しやすくなります。換気口を設置して結露の発生を防ぎましょう。

地中の温度と部屋の温度に差があるため、湿気が溜まりやすくなります。湿気対策として除湿器など使用してください。

浸水被害のリスクが高い

地下室は地面に穴を掘って設置します。通常の雨でしたら大丈夫なのですが、台風やゲリラ雷雨で地下室への浸水被害が発生するリスクが高くなります。

ドライエリアのある地下室の場合、道路から流れてきた雨水が溜まるとドアが開きにくくなってしまうかもしれません。あらかじめ、土のうを積む、逆流防止弁付きのポンプを利用するなどの浸水対策をおこなってください。

地下室の必要性をよく話し合いましょう

地下室にはドライエリア・半地下・全地下の3つのタイプがあり、地下室をつくると土地を有効活用できたり、音や衝撃、振動を抑えられますので趣味や仕事の場所としても利用できたり、耐久性が高いので地震にも強いのが良い点です。その一方で通常の住宅よりもコストがかかる、結露が発生しやすい、浸水のリスクが高いというデメリットもあります。地下室をつくるときは本当に必要なのかどうかじっくり考えてから決めましょう。

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